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――生前はさぞやいい女だったのだろう。
宗右衛門は、自分は死体を人ではなく物として見ることができるから女の器量を冷静に計れると自負している。例のごとく、頭の中で苦悶に歪んだ面に修正を加えてゆく。仏を仏とも思わない宗右衛門の悪趣味だった。
ぽっかりとうろのごとく開いた口も本来なら上品なおちょぼ口であったのだろうし、飛び出さんばかりに見開かれた目もきっと涼しげな切れ長であったはずだ。死んだ魚を思わせる濁った眼は、濡れ光る青みがかったぬばたまの――。
その時、女の目が――ぎょろりと宗右衛門を見た。
宗右衛門はぎくりと身を強張らせた。
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