嘘つきは嫌いだ

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 ***  ──結局あのことを言い出せなないまま、  この学校で、最後の日を迎えた──。  旧国道の前で止り、信号が青に変わるのを待ちながら、ずっと後悔していた。  何度も話すタイミングはあったはずなのに、それを口に出すことが出来なかった。  あの子がそれを聞いた時には、既にクラス中が、わたしの引っ越しを知っていた。  きっとあの子は、「なんで俺だけ聞かされてないんだよ?」そう思ったに違いない。  それでも、ちゃんと自分の口から言おうと、ずっと心の中で決めていた。  遅くなっても、ちゃんとわたしの口から言おうと。  やっと口に出せる勇気が出来た。そう思った矢先、先生がホームルームで正式にその話をした。  なんてタイミングが悪いんだろう……。  ほらね。悪いことは必ず最悪のタイミングでやってくる。  それからあの子は、わたしがいくら話しかけようとしても、男子たちに話しかけたり、ふざけて遊んだりして、最後までわたしに何も喋らせず避られ続けた。  もう会えないっていうのに……。  なんでこんなことになったんだろう。  理由は簡単、わたしが思ったより臆病者だったってだけの話だ。  信号が青に変わり歩き出すと、その先にある踏み切りの音が聞こえてきた。  いつもこのタイミングだ。そのたびにあの子と下校が一緒にならないか、期待を込めて背後を意識していた。  遮断機の一本は完全に下りていて、もう一本も下りはじめていた。  矢印を見ると左右両方の[→][←]が点灯していた。  長くなりそうだ──。
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