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アヤカシ達を見送った後、私達は片付けを後回しにして各々休憩に入りーー潜り込んだ布団の中、私は不思議な夢を見た。
月と星が瞬く空の下、見たこともない花畑に立っている私。
足元の花は折れたり枯れてしまっていて、まるで嵐に襲われた後のよう。
ふと気配を感じて振り返ると……そこにいたのは、婚礼衣装に身を包んだ綺麗な女の子。
艶やかな黒髪は真っ白な花に彩られ、花畑を優しく覆うように広がっている。
――ありがとう、
声が聞こえた気がして顔を上げると、女の子が自分の胸元を指し示した。
婚礼衣装を覆う白い薄衣。それをまとめた胸元には、レースのリボンで飾り付けたバラのブローチ。
頬を染めて瞳を細めて、女の子は心から幸せそうに微笑む。
――ありがとう。
――どういたしまして、お幸せにね。
自分の声が遠くに聞こえる。届くか心配だったけれど、女の子は嬉しそうに頷いてくれた。
それだけで胸が一杯になる。彼女の幸せが私にまでうつったみたい。
私は彼女につられるように笑って、温かい気持ちで目を閉じた。
「……ん?」
目を覚ますと、そこは幻橋案の自分の部屋だった。
なんてご都合主義な夢だろう。でも、いい夢だったな。
ぼんやりと考えながら起き上がると、枕元に何かが置かれていることに気付いた。
「これ…」
それは一輪の花。手に取ると瑞々しい茎の先で、スイセンに似た白い花が静かに揺れる。
私は花に笑いかけると、お祝いの言葉をもう一度呟いた。
「……お幸せに、ね」
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