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「――小春、そろそろ起きて」
「――ふぃ?」
作業台に突っ伏して眠っていた私は、優しい声と手に揺らされて目を覚ました。
瞼をこすりながら頑張って目を開けると、すぐ近くに右門さんの端正な顔。
「ふぐ!!」
その近さにびっくりして変な声が出てしまう。
「おはよう。大丈夫?」
「だだ、大丈夫です。おはようございます」
心臓がドキドキいっている。お陰ですっかり目が覚めてしまったけれど、右門さんは気にしていないみたい。
挨拶を返しながら視線を巡らすと、窓から朝日が差し込んでいた。
「皆さんは?」
「さっきようやく髪飾りが完成したところだよ」
「ということは、間に合ったんですね!」
私はほっと息をついた。あれだけの人数だからきっと大丈夫とは思っていたけれど、それでも限られた時間の中での作業、やっぱり不安はあったんだ。
徹夜作業になってしまったのは、可哀そうな気がするけれど。
「起きられる?アヤカシ達が帰る準備を始めているから、渡してくるなら今だよ」
「あ、はい。行ってきます!」
本当は今すぐにでもお布団に入りたいけれど、それは後。
私は慌てて立ち上がると、完成したそれを手に取って厨房を出た。
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