毎日の砂時計

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その日も彼女の目にはじめに写ったのは砂時計でした。 その砂時計は少しも動くことなくピタリと止まったままでした。 母が自分を呼ぶ声がします。 彼女は起き上がりました。 朝ごはんを食べ、学校へ行きました。授業を受け、部活をし、家に帰り、ご飯を食べ、お風呂に入り、課題を済ませ、そして眠りにつきました。 彼女の目に写ったのは砂時計でした。 その凹凸の様子はいつも何一つ変わることなくその場にありました。 彼女は起き上がりました。 彼女は砂時計を返しました。 朦朧とする意識の中で彼女が最後に見たのは残り数粒となった砂時計でした。 「......だめだった。」
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