木々の下で

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はあ、はあと息をつく二人。 「ここまで来れば大丈夫。」 少年はそう告げる。 「うん、そうね。散歩、するんでしょ?」 少女は少年に問う。 「うん、そのつもり。」 少年は少女に答えると恋人が繋ぐように手を繋ぐ。 「映画終わったね。私達を題材にされたのは恥ずかしかったけど楽しかった。」 「うん」 二人は少し俯きながら会話をする。 「ねえ、一年前もここで同じことしてたよね私達。」 「そうだね、これからは毎年の恒例にする?」 イタズラな笑みを浮かべた少年と少し驚きながら頷く少女。 「来年も再来年も、ずっとずっと先の未来…そう、お爺ちゃんお婆ちゃんになっても?」 「そのつもりで行ったんだけど。」 少女は顔を真っ赤にした。 その瞬間今年もまた同じ場所で影が一つになった。
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