小学生

1/9
904人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ

小学生

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 小学生 ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ ─── 6歳 春 ─── 母たちがおしゃべりだったおかげで、俺たちは毎週、1時間程、レッスン後に遊んで帰るようになった。 初めは恥ずかしそうにしていた奏だったが、慣れて来ると、とてもおしゃべりで楽しい女の子だと分かった。 だけど、俺にとって奏は、やっぱりお姫様で特別だった。 鬼ごっこをしても、足の速い俺が奏から離れすぎると、つい奏の所に駆け寄って近付きたくなってしまい、捕まってしまうというマヌケな事を繰り返した。 そうこうするうちに、季節は巡り、出会って1年、6歳の春に、俺たちは同じ小学校に入学した。 入学式の日、俺は初めての小学校、初めての教室に多少の緊張感と共に入ると、同じ教室に奏がいた。 何故だろう? 奏の周りだけ、輝いて見える。 他にも大勢いたはずなのに、奏だけはすぐに見つけられた。 俺は、吸い寄せられるように、奏の側に立った。 すると、奏の隣の席に、『たさき ゆうと』と書いてあるのを見つけた。 神様、ありがとう。 これは、もしかして、運命?
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!