85人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
光に照らされて、卓上カレンダーが浮かび上がる。気づけばもう、7月も初旬に差し掛かろうとしている。紫陽花は、だいたい梅雨の終わりと共に時期を終える。梅雨が7月中旬過ぎぐらいまでだから、あまり時間が残されていない。
ピカッ…。
もう一度、雷が鳴った。
一抹の不安。
紫陽花の終わりと共に、彼女もまた、手の届かない遠くへ行ってしまうのではないか。胸の中に、何とも言えない思いがじわりと広がった。
その後、何度か『あじさいロード』を訪れたが、
…この梅雨の間、彼女に逢えることは一度もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!