第27話:鍵。

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 それこそが、魂たちを満たし解き放つ…『鍵』だった。  やがて紫陽花は更に咲き乱れ、蝶たちは次々と旅立っていく。そして最後は…光が、世界を包むように、大きく広がった。  月色の、せかい。  その中で、声を聴いた。 (がんばったね)  年老いた、女性の声。  …ばあちゃん? 蒼太が思った。 (ありがとう、俺は…幸せだったよ)  優しげな、男性の声。  …お父さん? 香織が…思った。  やがて、2人の意識は…月色に呑まれていく。そして、深く柔らかな声が…響き渡る。  慈愛に溢れた、声。 『をんかーかか びさんまえい …そわか。』 (…地蔵菩薩の…御真言…?)  薄れゆく意識の中で、蒼太は…思った。
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