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あまりの天気の良さに、こっそり校舎を抜け出してきたが、そろそろ生徒の所へ行く時間が迫っている。
そっと小走りになった。
◇
昼休みの校舎は活気に満ちている。
ある者は体育館へ向かい、ある者は友人同士で会話を弾ませる。
そんな中、教室の片隅でひっそりと蒼太を待つ少年が居た。身体つきは小さく、少し気弱げな少年。何より周囲との違いは、車椅子に乗っている事だった。蒼太は息を切らせながら、その少年に近付く。
「ごめん純平君、待った?」
これに対し、
「すいません、いつもご迷惑をお掛けして」
少年は、申し訳なさそうに頭を下げた。
楠見純平は、二分脊椎という障がいを持つ。
これは、脊髄の形成に異常を生じる先天的な奇形で、原因としては遺伝因子・環境因子など様々なものが絡むと言われている。症状も様々で、純平の場合は下半身に全く力が入らず、車椅子を使わなければ移動することが困難だった。
一方、彼は頭が良く、成績も学年で十指に入るほど優秀だった。それを惜しんだ両親は、特別支援学校の個別対応に魅力を感じながらも、進学先として地元の普通中学校を薦めた。同世代の子供達から、刺激を受けながら成長することを願ったのだ。
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