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後部ハッチが開かれたそこには、闇に絶妙に溶け合う緑の群れ、情報によれば、
ここはS県山間部で今、話題の“化け物共の巣”になっているらしい。
この話題というのは数年前から始まった、世界中がどうしようもない不況と環境問題、
地域紛争に悩まされていたあの時代…各国政府はそれらの“捌け口”を探していた。
つい最近まで、最敵国家と目標されていた分断国家は、
食糧難であっさり統一化の道を歩み始め、
テロの温床であった過激組織は資金不足のため、人質解放を促進、脅威でも
何にもなくなった。
大国同士のいがみ合いはあるけど、WW3的な第三次はゴメンというのが、全国家
共通の本音。敵が必要、出来れば人間以外。いました!世界のあちこちに!
初めて、それを見た時、一般大衆は恐怖と興奮に包まれ、
企業と軍部、そして政府は“恰好の標的”を見つけたと舌なめずりをした。
どっかの科学者が開発した探知器などの発見と具現化する装置(?)によって
心霊、UMAといった、いるか?いないか?わからない連中が、人間達の目の前に、
白日の下に引き出され、晒された。
彼らの姿は一様に違い、中には特殊能力を持っている奴、巨大な奴とか色々いて、
ホントかどうか知らないけど、人間にも長年に渡って害を及ぼしている奴もいたらしい。
恰好の交戦理由と殺戮対象を得た政府は緊急かつ、迅速に軍隊による攻撃を決め、アホな
日本政府のでしゃばり的呼称をそのまま採用した。
かくして「AYAKASI(アヤカシ)」と名付けた異形のモノ達が、
各地で見つかり、攻撃され、駆逐されていく。
世界規模の攻撃に伴う軍需物資と武器の生産による経済安定、労働力の確保、
国家を超えた連携と協力は人類に平和という恩恵をもたらした。
もちろん、数百万のアヤカシの死骸を肥やしにした上でだ。
戦争による経済復興は世の常…敵方に対する人道的余裕が生まれるのは、相手を完全に
蹂躙し、凌辱しきった後に訪れる。
今戦争も御多分に漏れず、九鬼自身も口にするのも憚れる酷い場面…アヤカシに対する
戦友達の行いを随分目にしてきた。
そして、今作戦は日本の自衛隊が行う国内最後の作戦、山中に残ったアヤカシ達の残党狩りを行う。
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