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「ぬっぺにかまさん、何言ってるの!この長い鼻は絶対天狗だよ!
きっと私達を助けるために空から降ってきたんだよ!!絶対、ね!天狗さん!!」
先程の狐少女が九鬼の腕を掴み、縋るように腕を振り回し、周りのアヤカシ達に説明する。
ありがてぇ…よくわからないが、この天然ちゃんは自分の事を信じていくれている。
“キツネ耳娘とか、人間タイプの妖怪キャラは得てして、俺達、人間の味方になってくれる奴が多い、エロコメ展開とか、萌え萌えシチュもふんだんだ!九鬼”
ふいに戦友の“ボブ”の言葉が蘇った。
元デルタ(特殊部隊)出身の凄腕傭兵。最終階級は少佐なのに、日本のアニメ大好き。
傭兵になってアヤカシと戦うくらい驚異的な戦闘能力を持ってるけど、日本の漫画大好き。
コスプレとかも大好き。お盆に年末は絶対!訪日決め込むオタクっぷり。
日本人なのに、そっち方面は全然詳しくない九鬼に事あるごとにその雄弁さを用い、どうでもいい知識を叩き込んでくれたものだが…まさか、こんな所で役に立つとは…
九鬼は足元の少女に頷き、徐々にその数を増していく大小様々の異形のモノ達に即興の台詞を披露する。
「彼女の言う通り、俺は最近の天狗。現在の人間共の悪行に怒りを覚え、参戦仕った。
俺が手にしているのは錫杖代わりの“銃”これは奴等の武器だが、我が一族は術式により、
連中に擬態し、攻撃する人間で言う破壊工作を得意としている。本来なら、大量の味方を
率いてきたかったが、人間共の鉄の鳥の攻撃により、一族はほぼ、離散し、全滅。自分だけが辿り着いた。
お手前方の総大将に拝謁願いたい。」
自身満々の前口上、学生時代は演劇部出身ではないが、まずまずと言った所だろう。
その証拠にアヤカシ共は皆、黙り込んでいる。ん?違うな。様子が可笑しいぞ?
「お母さんは…」
足元からの声に驚く。下を見ればお眼目ウルウル、耳と尻尾がフルフルの少女がいた…
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