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「状況を整理しよう“おとら”」
「ウン…」
おとらと名乗った狐少女が泣き出す前にレーション(携帯食料)にあったキャンディを与え、
何とか話を聞く事に成功した九鬼は安心から、コロコロ変わる危険の目まぐるしさに、
幾度も冷える内心をどうにか落ち着かせる。
今、森の中にさざめくアヤカシ共から生き残る鍵を握るのは、自分の膝にチョコンと腰かけ、
頭に生えた耳で鼻孔を非常に擽るおとらだけだ。上手く事を進めねばいけない。
「君のお母さんは九尾の大妖で、人間との戦闘で捕まってしまったという事だな。
場所はわかる?助けに行ってくれる仲間は?ぬりかべとか、土蜘蛛は?砂かけババに子泣きのジジでもいい。
牛鬼なんてのもいたな。結構、メジャー所の奴等はどうしたの?」
「場所は多分わかる…でも、仲間は皆、死ん(また、目元が涙が溜まり始める)」
「ああ、いい!いい!大丈夫。そっかー、そうかぁ~、うーむ、困ったな。」
ボブに教えてもらった強めの妖怪達を上げてみたが、考えてみれば、ここ数年の戦闘で
大方のアヤカシは駆逐されている。となると残りは…
九鬼の視線に気づいたのか…おとらが、オズオズと自身の小さな指を数え、助けてくれそうなアヤカシの名前と特徴の説明を始めていく。
「えっと“脂肪なら任せてのぬっぺ”に“かまいたちを起こせるかまさん”、
“雨とか泣き声で相手がビックリ川姫ちゃん”、“洗濯物が臭くなるよ白さん”
それと、最近の天狗さん!」
最後は笑顔でちゃっかり自分が助ける仲間に加えられてる事に軽いショックだけど…
そもそもの問題は、まるで使える戦力がいねぇというのはよくわかった。
名前を指名された先程のぬっぺとかまさんは戦線恐々の面だし、着物が可愛い、お人形みたいな川姫は既に泣いてた…“白さん”と呼ばれた布切れ+トカゲ頭はヒラヒラ、何処かに逃げようとしている。
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