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全員の分が揃わなかったのは、数名の指輪が特注品だった為だ。デザインからオーダーされた物まであり、完全に写真を揃えるには時間が短すぎた。
9人分の写真を取り出して見せようとするが、ロビンは片手を上げて制止した。
「見なくても分かっている。すべて宝石を埋め込んだタイプで、立爪ではなかった筈だ。そして、地金はK14」
「……知っていたのか?」
眉を顰めたコウキに向き直り、立ち上がったロビンが鉄格子に手を触れた。
距離を詰めたことで、周囲の監視官に緊張が走る。しかしロビンはすぐに離れて歩き出した。
狭い室内をくるくると円を描くように歩き出す。
「ピンクゴールドと呼ばれる地金の特徴は?」
「純金(24金)より硬く、銅を混ぜることで安くなる。ピンク色に輝く様が女性に人気で……」
「そうだ、女性に人気がある。なのに殺された人間の7割が男性。その意味は?」
「…………」
返答に詰まった。
そんなコウキへロビンは溜め息を吐き、覚えの悪い生徒を叱る教授のように言葉をかけた。
「オレはすべてを見透している。だが、全部をおまえに教えるわけじゃない。知らないことは罪ではないが、知ろうとせずに見落としたのはコウキのミスだ」
唇を噛み締めたコウキの前で立ち止まり、迷うような仕草で視線を反らした。だがすぐに顔を上げたロビンは大げさな身振りで手を広げる。
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