78人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
プロファイラーが検証に使う為に用意された写真は、すべて北を上に撮影されている。上下を確認しながら5枚並べたところで、コウキの手が止まった。
残りを乱雑に放り出し、中から3枚だけ選び出す。
何故気づかなかったのか? 誰も疑問視しなかったのが不思議だった。
死体の顔の向きが違うのだ。
最初に渡された資料の12人中、9人の顔が南を向いている。しかし、ロビンが選び出した3人だけ……僅かに西へずれている。
これだけきっちり死体を並べる犯人が、ミスをしたとは考えにくかった。
何らかのメッセージ、あるいは特別な意味があって行われたのだろう。
じっと見つめる先で、昨夜の被害者の写真を3枚の隣に置いた。やはり、同じように西へずれている顔が違和感をもたらす。
手にしたペンで、死体の視線の先を書き込めば、すべてが左手首の先へ到達する。手首が残っていたなら、指の付け根に当たる部分だろうか。
手の形を描き込みながら、コウキは唇を噛み締めた。
「ロビンっ!」
勢いよく現れたコウキを待っていたように、独特の笑みを浮べた男は監視に椅子を用意させた。勧められるままに座ったコウキの顔を見つめ、くすくすと笑い出す。
「どうやら……気づいたようだな、コウキ。新しい芸術品は昨日のヒントと同じだっただろう?」
膝の上で手を組み、穏やかな口調で小首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!