03.暗い月

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 プロファイラーが検証に使う為に用意された写真は、すべて北を上に撮影されている。上下を確認しながら5枚並べたところで、コウキの手が止まった。  残りを乱雑に放り出し、中から3枚だけ選び出す。  何故気づかなかったのか? 誰も疑問視しなかったのが不思議だった。  死体の顔の向きが違うのだ。  最初に渡された資料の12人中、9人の顔が南を向いている。しかし、ロビンが選び出した3人だけ……僅かに西へずれている。  これだけきっちり死体を並べる犯人が、ミスをしたとは考えにくかった。  何らかのメッセージ、あるいは特別な意味があって行われたのだろう。  じっと見つめる先で、昨夜の被害者の写真を3枚の隣に置いた。やはり、同じように西へずれている顔が違和感をもたらす。  手にしたペンで、死体の視線の先を書き込めば、すべてが左手首の先へ到達する。手首が残っていたなら、指の付け根に当たる部分だろうか。  手の形を描き込みながら、コウキは唇を噛み締めた。 「ロビンっ!」   勢いよく現れたコウキを待っていたように、独特の笑みを浮べた男は監視に椅子を用意させた。勧められるままに座ったコウキの顔を見つめ、くすくすと笑い出す。 「どうやら……気づいたようだな、コウキ。新しい芸術品は昨日のヒントと同じだっただろう?」  膝の上で手を組み、穏やかな口調で小首を傾げた。     
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