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05.知ろうとせず
変わり映えのない日常、いつもと同じ天井を眺めてベッドに転がる。
檻に入った今、仕上げは奴の仕事だ。その為の手順も道具も揃えてやった。
あとは、飛び込む獲物を待つのみ。
口元に笑みを浮かべ、ロビンは鼻歌を歌いだしそうな自分を抑える。
まだ早いのだ、急いては事を仕損じる――前回身をもって学んだ異国の諺を思い出し、ゆっくり深呼吸して耳を澄ました。
足音は聞こえない。
目を伏せて、寝返りを打つ。眠る気はないが、看守に背を向ける形で転がった。
……遠くに足音が聞こえて、自然と表情が緩む。
近づく足音は複数で、毎回案内と監視の意味でつけられる男達に囲まれた羊が姿を現した。起きたばかりのように伸びをして身を起こし、ベッドの端に腰掛ける。
「ロビン」
「何を見つけた?」
手がかりを見つけたから顔を見せたのだろう?
確信を持って告げるロビンが長い三つ編みの先を指先で弄る。機嫌がいい男は椅子に座ったコウキへ自ら話を振った。
「首の向きが違う4人は結婚していた。指輪の意味が違う」
「なぜだと思う?」
「それは……」
コウキ自身まだ答えが出ていない。
「指輪の写真を取り寄せたか?」
「一部だけだ」
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