始めであり終わり

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私は空にふわふわ浮いていた。 そしたら神様が私を私の母の体に入れてくれた。 お陰で私は家族を持った。 産まれてから、立ち上がるようになり歩けるようになり、そして喋れるように私はなった。 そうして十数年の時が経ち私は旅に出た。 冒険者として名を馳せるつもりが勇者として皆に崇められた。 実際の私は勇者などではないのだけれど皆がそれで幸せならそれで良いと勇者を続けた。 私は人を助け、新しい家族を作った。 優しい妻に可愛い子供達、そして嬉しいことに孫達までできた。 この人生に悔いがあるとしたら、それは私の為の時間をあまり作れなかったことだ。 私は勇者としてずっと活動してきた。 だから私には家族と過ごす時間ものんびりする時間もほとんど取ることができなかった。 私がもし、生まれ変われるのなら次は自分の自由に生きたい。 そう思って私は空を見上げた。 “ああ、この世界ともついにお別れの時が来たのだな。”
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