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でもアタシ思うんだけどさァ、範子の後を追うってことは、後をつけるわけでしょ。
ねえ、そう簡単に上手くいくもんかしら。
忘れた?
アンタが秘密裏にしていた内裏のあやかし退治を暴いてみせたのは、一体誰だったと思ってるのよ?
「敦宣?」
「の、範子さま…」
案の定、気配に気付いた範子に敦宣は見つかっちゃったのでした。
追い掛けて捕まえたのが敦宣だと気付いて驚く範子に、見付かってしまい俯くしかない敦宣。
もうなんかすごい既視感。
しかも場所は大内裏。もはや言い逃れのしようもなし。
「どうしたの?」
「その…」
ちらと敦宣がアタシに視線を向けて助けを求めてくる。仕方ない。ひと肌脱ぎますか。
範子の元へひらりと寄ったその瞬間、
「侍従の君、何かあったのかい」
聞き覚えのない声と共に男が姿を見せ、全員の目線が向く。
「頭中将殿…」
範子が呟いた名前に、敦宣とアタシは思わず天を仰いだ。やっちゃった。
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