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…とまぁ、そんなことがあった昨日の今日。
敦宣は何食わぬ顔で右大臣邸に帰ってきていて、表面上は平素と変わらない日常が訪れていた。
あくまで表面上はね。
「やってしまいました…姿を見られるなど…」
部屋で頭を抱えて、敦宣が呻く。
そう、水面下ではなかなか面倒なことになっちゃったのよ。昨晩の大内裏で範子の後から現れたのが頭中将で、更には奴に敦宣の姿を見られるという見事な合せ技。
件の貴公子と宿直だっていうのは承知のことだっただけに、これは痛恨の失敗。
まァ、袿を被っていたから、近くにいた範子にはともかく遠目には敦宣の姿ははっきりとは見えなかっただろうけど。
それにしても人気のない所に逃げたのに、意外に頭中将も物怖じしないのかしら。
しかもよ。
固まるアタシたち(アタシは徒人にはみえないけど)を見て、頭中将はやにわにわけ知り顔でしっかりと頷いてみせた。そうして、何も言わずとも宜しいと言わんばかりに速やかに退場していったし。
ありゃ絶対に勘違いしているわ。
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