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「あら、敬太さん来ていたの?」
リビングでテレビを見ていた敬太に驚いて、声をかけた。
敬太と私は婚約をしている、だから家に来ていたとしても特に変なことはないのだけれど。
「当たり前だろ、今日は君とって特別な日だ、新人賞受賞おめでとう」
「ありがとう、でも遅くなるから帰っていてもよかったのよ」
「いや直接言いたかったんだ」
「待っててお茶を入れるから」
私は逃げるようにキッチンの方に行った。
何で籍を早く入れないんだと、一昨日お父様に言われたことを思い出して気まずかったからだ。
やましいことがなければ、か。籍を入れることができないことがやましいことと言えばそれはそうかもしれない。その理由は敬太にも話すことが出来ていない。
敬太の事は愛しているつもりだ、他に結婚をしたいと思うような男性がいるわけではない。でもただ一つの紙切れを書く勇気がないのだ。
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