第1章 聖セイバー教魔法学園

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「そうだ。一般属性と特殊属性の違いを述べ、初級魔法の最終段階の『マティ魔法』だけでなく中級魔法の詠唱区について『スペル語』を交えて説明し、さらに魔法を構成する『魔粒子』について詳細に回答するなど、我々は誰ひとり求めていないぞ」  全て思い当たる節があり、思わず顔が引きつる。訳の分からぬ単語が飛び交う会話に隣のタドルは無論置いてけぼりを食らっている。 「英才教育を受けた貴族どもでも魔法が使えなければ理解しにくい問題ではあった。なんとかスペルをつかって詠唱の例を書いていた者はいたが、魔粒子について事細かに書く者は、今回どころか今までも見たことはなかったな」 「スペルって? まりゅーしってなんだよ、レイズ」 「知らん」  少しムキになってタドルの問いかけを弾き飛ばす。 「ま、私は君に期待しているよ」  目の前の女教師が突如立ち止まる。会話に夢中で気付かなかったが、いつの間にか目的の教室の前まで来ていたようだった。両開きの扉は閉められていることからもしかすると説明が始まっているのかもしれない。貴族に絡まれた揚句、初っ端から遅刻してしまうなど幸先悪すぎる。 「遅刻したくなければ、私より先に入れ。私はこの合同説明の担当だからな」  その頭の中が読まれたのか、扉に手をかけたままこちらに嫌らしい笑みを浮かべる女教師。隙がなさすぎる。タドルが慌ててもう片側の扉に手をかけて思い切り引きあければ、まだざわめきながら説明を待つ生徒の様子にほっと胸をなでおろす。 「ああ、そうレイズ・リディーム君」  早く席に付いてしまいたい所であるが、その女教師はレイズを引きとめた。タドルも置いては行けず、振り返りレイズと女教師を見比べている。
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