第2章 氷の女教師

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「Hクラスのアリシア・ヒューネです」  生徒からほぼ男子のものと思われる歓声があがる。背はエリザ・カルネスよりも低いが、豊満な胸元が強調された白いローブに身をつつみ、ロゼワインのような淡いピンク色の髪を横でまとめたやさしい笑顔を向ける身目麗しい教師。男女問わずここにいる生徒全員がHクラスを羨んだに違いない。 「私はパフェクターの実践魔法学をエリザ先生と一緒に教えるので、GクラスとHクラスのみなさん、よろしくおねがいしますね」  興奮した二クラスの男子が拍手を上げ始める。レイズは手をたたかなかった。否、隣からの負の圧力にただ耐えることに集中するあまり何もできなかった。 「さていいか、とりあえず男子諸君はおちつけ。次の話をするぞ」  生徒の態度に対して嫉妬というものは微塵も感じられず、むしろこの反応に慣れた様子でエリザ・カルネスはテキパキと話を進める。 「まずは学園での授業の進め方についてだ。基本的に午前は一般教養の授業を行い、午後に戦闘術及び魔法学のそれぞれの専攻授業を行う。授業は各担当教師が持つ教室で行われるので、授業ごとに移動すること。午後だが、EとFクラスはグラント先生の教室へ、GとHクラスは私の教室へ来るよう。ちなみにここが私の教室だ」  それを聞くと、一部の生徒は興味津々といったように教室を見渡し始める。棚には本がずっしりと詰め込まれ、一角には頭部に様々な装飾が施されたロッドがズラリとならんでいる。そして何よりも学年の半数の生徒を収容できるこれだけ広い教室をもつということは若いわりにはかなりの腕のたつ教師なのだろう。
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