第2章 氷の女教師

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「ちなみに週一で『宗教』の授業がある。これは四クラス合同で、私が受け持つからその時間はここに集まってくれ」  ついでとばかりに付け加えるような言い方にレイズは違和感を覚えた。まるであまり宗教の授業に関心がないかのように思えた。 「授業もやんのか。毎朝礼拝すんのによ」 「仕方ないだろ。あきらめろよ」  頬杖をついて文句をいうタドルを、レイズはなだめる。先ほどの全体説明で学園の一日は礼拝によって始まることを伝えられていていた。田舎の学校に通っていた頃はそんなものはなかったため、それを聞いてタドルが発した第一声は「めんどくさい」の一言だった。気持ちは分からなくもないが、ここにいる以上はやむを得ないのだ。 「向こうの前半クラスも同じような構成で授業を行うが、一緒に授業をするようなことはほぼないと思ってくれ。基本的に学年は四クラス単位で動く。教師の口から明言するのは避けたいところなのだが……前半のクラスには貴族が所属しており、こっちの後半のクラスには平民枠で入った者が所属している。ちなみに教師の出身も然りだ。よく学園内で貴族側と庶民側でもめごとがおこるのだが、そういうことはほどほどにしたまえよ」  エリザ・カルネスと一瞬目が合ったようだったが、レイズは気のせいだと自分に言い聞かせた。 「さて次に、君たちに装着してもらったこれについてだが」  右手で持ち上げてみせたものは、白い腕輪、マディルだ。 「先ほどの説明でもあったとおり、これは魔法の発動を制御するものだ。今現在君たちはこのマディルによって一切の魔法も魔術も使うことができない状態にある」  掲げた手を下ろすと、さらに続けた。 「もちろん、それでは魔法を習得することはできない。だから定期検査を三カ月に一度行い、各人に合った制御レベルまで下げる。なぜ規制しているかは明日からの魔法学の授業で説明する」
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