第3章 世界の殲滅と救世と

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 この世界には皆も承知の通り、我らが敬愛するセイバー神の他にもう一つの神がいます。それは否応なくも認めなければなりません。ええ、そのもう一つがこの世界を創り、始めの命と魔力を生んだ始原であると。  かつて人々は敬意を表して”それ”を「創造神」と呼んでいました。しかし今ではそのような呼び名を使うものは何人たりともおりません。あの――そう千年に渡り繰り広げられ、約六百年前に終結した『世界殲滅千年大戦』で”それ”は我々の命をまるで造り物だからとぞんざいに扱い、我々にとってかけがえのない命を根こそぎ奪っていったのです。  そして私たちは”それ”をこう呼ぶようになったのです。  「殲滅神」と――  その殲滅神から世界を救ったのが、我らが救世神セイバー様です。セイバー神はその大いなる力を持ってして殲滅神を退け、我々の命を救い守ってくださった。だが殲滅神は完全に滅びてはいません。今もこの世界の片隅で息をひそめ、我々は死の恐怖にさらされています。  どうか皆で祈りましょう。  救世神セイバー様が殲滅神を完全に葬り、世界を救い、そして生まれ変わらせることを!
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