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まだ入学三日目というのに、呆気ない。エリザが公言した時は周りの生徒に羨望の眼差しを向けられたが、一度違う世界に触れればこうだ。
「なあ、レイズ」相手を睨みながらタドルが声を絞り出す。「プレビスって、なんだ」
我が耳を疑った。その顔でその声音で、そしてこんな状況下でそんな基本的な事を聞くのか。
言葉を失ったレイズの代わりに口を開いたのはチンピラ紛いの男子生徒二人だった。
「おめえ! ノービスとプレビスの違いもしらねーでここに来てんのかよ!」
「ふざけてんじゃねーぞてめえ!」
罵声を上げながらジリジリと詰め寄った二人に、レイズはタドルの腕を掴んで引き下がる。
「ばかかお前」声を静めながらも呆れは隠しきれない。「なんで知らないんだ。自分が受けてる基金の名前思い出してみろよ!」
「は? いや、プレビス学生支援き・・・・・・うお! あれ! なんだよプレビスって!」
「今まで気にならなかったのかよ」
思わずガゼルまでもがため息を漏らした。
プレビス学生支援基金を受けるために受験前も後にも様々な手続きをしたし、そのための説明冊子にも何度も目を通した。だが、タドルも要項をよく読んでいたかといえば答えは迷いなく、否だ。
「いやあレイズが分かってるから、いっか、って」
「俺はお前の親か!」
「タドルくん」
レイズとタドルの隙間からこれまたフレッグがこっそり声をそばたてる。
「ノービスは貴族、プレビスは平民を指すんですよ。便宜上、貴族がいるAからDクラスをノービス、僕達がいるEからHクラスをプレビスって言ったりするんです」
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