第2章 氷の女教師

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第2章 氷の女教師

「初めまして。四クラス合同の説明会を担当する、Gクラス担任のエリザ・カルネスだ」  女性にしては低い声に妙な威圧感。腰に片手を当てた黒髪の女教師から感じる雰囲気を現わすなら「氷」がふさわしいだろう。凛とした切れ長の瞳に冷たい口調。それが彼女の美しさを引き立たせている。 「授業は『パフェクター基礎魔法学』と『パフェクター実践魔法学』の担当だ。基本的にはGとHクラスをみることになるが、四クラス合同授業をするときは私が担当する。つまり皆私の授業は受けることになるから、よろしく」  心なしか生徒から動揺がにじみ出ている。隣のタドルの顔を盗み見れば、確実に血色が悪くなっている。  魔法を習得するのが楽しみにしているところで、担当教師がこんな威圧感万歳の人なのだ。無理もない、とまるで客観的に考えながらレイズは冷静を装った。 「さて、それではEクラスから順番に担任を紹介していこうか」  Eクラスはタドルが所属するクラスだ。タドルが首を振って気を取り直して期待に身を乗り出す。他の生徒もざわめく中教壇にあがったのは、身長は優に二メートル近くあるのではと思われる、筋肉で覆われた巨大な男性教師だった。 「Eクラスを担当する、セオドア・グラントだ!」  教室の壁がひび割れるのではないか、と案じたくなるほどの太い声が轟く。 「俺は剣術の実技を担当する。EとFで剣術を選択する者は俺がみっちり教えてやるからな!」  楽しそうに生き生きと話す姿に精気が吸い取られていくように、一部生徒の顔が蒼白になっていく。 「おい、タドル」  隣の友人の肩を叩いてやるが、隣で口をあんぐりと開けたまま顔を真っ青にしているタドルは石造のようにビクとも動かなかった。気の毒だが、レイズから見れば良い先生の様にも見える。あの盛り上がった筋骨隆々の肉体を差し置けば、の話だ。  次にFクラスの担任が壇上へあがった。やはり身が引き締まった体つきをしており、授業は槍術を担当するとのことだった。次のGクラスは彼女自身なので省略され、最後のHクラスの担任が紹介される。
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