7.隠れた記憶

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   賑やかな夕食は、テルの作ったハンバーグで揉めている。 「なんで大きさが違うんだよ!」  怒鳴ったのは優作。困った顔をしているテル。 「同じ大きさに丸めたから量は変わんないんだよ。伸ばす時の厚さが違うから面積が変わったんだ」 「面積だ? ふざけんな、俺が分かんねぇと思って誤魔化してんだろ! 難しいこと言いやがって!」 「優作、言うな、恥ずかしい。誰だって『面積』なんて知ってる」 「そんなわけあるか、カジさん! ナッチ! お前一番年下だろ? お前にも分かんねぇよな!」  ナッチも困る。これでそのくらい知ってるなんて言おうものなら優作はさらにキレるだろう。 「俺は………」 「優作さん、面積って、広さってことだよ。大きさは同じ大きさに分けたんだって。で、それをハンバーグの形にする時に上手いこと行かなくて同じ広さにならなかったってことなんだよ。そういうことでしょ? テルさん」 「そうだって言ってんのに」 「何だと!?」 「だから怒んないで! テルさん、一生懸命美味しいの作ってくれたでしょ。だから『ありがとう』って美味しく食べようよ。足りないんだったら俺の半分あげてもいいから」  う! という顔にジェイはにこっと笑った。   
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