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「厄介だな……」
呟きながら会議から池沢が戻ってきた。
「どうしたの?」
「クライアントからクレームが出たんだ。どうやらスケジュール変更の連絡を受けた営業の若いのが伝達ミスしたらしい。こっちにその情報が流れなかった」
「それって何の?」
「グローバルソリューションズのスケジューラだ。予定を入れれば自動的に出張や休みが勤務表に反映される。会議の予定を入れれば会議室を予約出来る」
「え、あれって2週間前にリサーチのデータを花に渡したばかりよ」
「そうなんだ。でも連絡した日にプレゼンに来なかったというクレームなんだよ」
「どうするつもり?」
「取り敢えず花には準備を急がせよう。俺は先方に謝罪とスケジュール調整に行ってくるよ」
「だって営業の仕事じゃない!」
「技術者じゃないともう信用しないってさ」
池沢が外出の用意をするのを見ながら三途川はあれこれ考えた。
「私、花を手伝うわ。明日から課長が出てくる。朝一で見てもらって、並行して野瀬さんに動いてもらう。中山さんに頼んで野瀬さんと一緒に解析してもらえば納期がかなり早くなるわ。先方にそれを提示すれば呑んでくれるんじゃない?」
「結構無茶なスケジュールだな! それに中山さんのところは今他のをやってるぞ」
「一人借りれば充分よ。和田さんか柏木さん。頼んでおくから行って」
「悪いな、頼む。俺は時間稼ぎするよ。1日でも納期が早まれば向こうも文句ないだろう」
「その線でいきましょ」
池沢は離れかけてまた三途川のそばに戻った。
「どうしました?」
「お前、いつも頼りになるよ……助かる。行ってくる!」
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