8.思い合う心

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   早足でエレベーターに向かう池沢の背中を見ていた。 (ちょっと痩せたかな。しょうがない、今度焼き肉屋にでも連れて行こうか)  そのまま花を探す。 (なんでいないのよ!)  やっと4階からジェイと喋りながら上がってきた花を捉まえた。 「ミーティング! 花んとこのメンバー来てくんない? 野瀬さん! 中山さん! ミーティングルームにお願い」  集まった面々にクレームのこと、対応についての提案を説明した。 「あそこ、いつも面倒起こすんだよな。上客だからあんまり文句言いたくないけどいつも途中でコロッと予定を変える」  泣かされてばかりの野瀬がボヤく。 「でも今回はこっちの落ち度になるから。他にいい案ある?」 「いや、納期を早めるのが一番効果的だろう。その代わり『今回は特別に』っていうアピールをしっかりしておかないと調子に乗られるからな」  中山は常に冷静だ。 「それこそ営業に頑張ってもらいましょ。坂崎さんか田中さんならなんとかするでしょ」 「ウチは柏木に任せるよ」 「じゃ、こっちは俺と尾高と澤田で動く」 「良かった! じゃ、残るは花。あんたんとこでこれの事前プレゼン、今日中に仕上げて。明日一番に課長に見てもらおう」   
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