8.思い合う心

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   その日の午後4時前、花は自分のメンバーに呼びかけた。 「おい、みんなミーティングルームに集合」  怒らせると怖いことが分かってから、みんな花の指示には速やかに従うようになっていた。 「プレゼンは出来た。今からみんなに見てもらって中身を叩きたい。どうせ明日課長にコテンパンにやられるだろうけど単純ミスは潰しておきたい」 「もう出来たんですか!?」 「七生、出来たんじゃない、やったんだ。そこは違う」 「でも早い……」 「三途さんとジェイと3人でやったからな。でも三途さんを頼るのはこれっきりにしたい。そう思ってくれ。じゃ、始める。20分が目標だ」  そこからチームで中身を練った。新人だからこそ見える点もある。花はそれを軽く見なかった。スケジューラを使うのは社員全員だ。当然、そこには先方の新人もいる。  ジェイは発言の記録を録りながら3人の視点のずれを指摘していく。 (確かにジェイの言う通り、これはチームのいい勉強になるな) 今回のクレームは花にとってはラッキーな教材となった。 「ジェイ、お疲れ! もう4時過ぎてる」 「いいの? 今日、俺もう少しやっても……」 「だめだ。後は俺がまとめる。パソコン落とせ」 (こんな時でさえあの人には甘いんだな…) そうは思うけれど、ミーティングでのジェイには石尾は舌を巻いた。もちろん自分はまだ未熟だ。けれどジェイに指摘された内容は的確で分かりやすかった。説明も手を抜かず、短時間で頭に叩き込んでくれた。 (チクショウ! 負けたくない!!)  花に憧れながらも、石尾の今の目標はジェイになっていた。   
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