8.思い合う心

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   10時近くに三途川が部屋に来た。 「ジェイ、課長のとこの鍵、持ってるんでしょ?」 「うん、持ってる」 「課長、車持ってきていいですか?」 「俺の?」 「今日はマンションまで行って課長の車をジェイに運転させます」 「え、俺一人で?」  ジェイが驚く。 「そんな危ないことしないわよ。私が助手席。課長の車に慣れた方がいいでしょ?」 「分かった。お前に任せる」 「じゃ、出かけるわよ」 「はい。行ってくるね、蓮」 「ああ。頼むな、三途」  にこっと笑うと三途川はジェイと一緒に出て行った。 (あいつの気配りも半端じゃないな。イチさんと上手く行くといいんだが)  蓮の中には『灯台下暗し』なんて、てんで浮かんできてはいなかった。  いても立ってもいられない……ジェイたちが帰ってこない。 (まさか事故とか?) でも帰りは2台に分かれる。ジェイとイチが一緒に乗るんだと言っていた。なら何かあればどちらかから連絡が入るはずだ。  そうは思うのに、玄関と部屋を行ったり来たり。 (電話……いや、メールいれてみようか) けれど、それが事故に繋がるのももっと怖い。  さんざんウロウロしてやっと玄関が開いた。 「ただいまー」というジェイの声を聞いた時には、出迎えてホッとした分、怒りが込み上げてきた。 「連絡くらいしろっ! どれだけ心配したと思ってるんだ!!」   
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