511人が本棚に入れています
本棚に追加
「蓮……痩せたね」
「しょうがないよ、食ってないんだから。普通食になったらすぐに戻るさ。それよりお前に食事任せていいのか?」
「もちろん! 三途さんとこでたくさん料理習ったし、勉強だってしてるよ。真理恵さんも助けてくれるって」
「じゃ、期待していいんだな?」
「任せといて。頑張るから」
しばらく沈黙が漂う。蓮がずっと黙っている。
「どうかした?」
「きれいなハンドルさばきだと思ってさ」
くすっとジェイが笑う。
「いつも蓮の動き、見てたから。蓮の真似してるんだ」
「俺? 俺はもっと荒っぽいだろう!」
「蓮の動きはいつだってきれいなの」
「ふぅん……」
自分の真似だというその動きを褒めたことが気恥ずかしかった。
今度は混雑から免れず、会社の駐車場に入ったのは8時47分だった。
「お昼はレトルトのおかゆになっちゃうね……お昼何かパッと買ってくるよ」
「悪いな、頼む」
やっと来たエレベーターに乗ってオフィスに着いたのは8時53分だった。
「ギリギリセーフって感じだな」
「明日からもっと早く出ようね」
最初のコメントを投稿しよう!