8.思い合う心

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  「三途! プレゼンを見る前にリサーチの資料を全部送ってくれ。それを見てからになる。花、悪いが30分くれ」 「了解です」 「チーフ、30分で課長は中身分かるんですかね」 「課長だからね。翔、プレゼン俺と変わるか?」 「いえ! チーフの勇姿を見たいです!」  露骨に花がイヤな顔をしたから翔は肩を竦めた。 「よし、じゃ見せてもらおうか」  蓮の後からミーティングルームに花を先頭に入っていった。いつもの通り蓮がスクリーンの真正面に座って腕組みをしている。目の前にはさっきの資料。 「では始めます」  花は早速プレゼンに入ろうとした。 「待て、花。導入から全部やれ」 「導入?」 「まず名乗れ」 「……分かりました」 ふぅっと息を吐いて吸った。 (今日は本当に叩かれそうだ) 「フューチャー・ジェネレーションシステムズ、リサーチ&デベロップメント、提案担当の宗田と申します。貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。本日はグローバルソリューションズ様の『スケジューラシステム』導入につきまして、当社の開発するシステムをご紹介いたします」 「花、どうした。緊張か? ゆとりを感じない、表情を忘れている。それから誰に向かってプレゼンしている?」 「すみません、頭からやり直しさせてください」  もう一度肩の力を抜く。一度目を閉じて正面を向き直した時には、表情がすっかり柔らかくなり蓮の目を真っ直ぐ見た。 「フューチャー・ジェネレーションシステムズ、リサーチ&テベロップメント、提案担当の宗田と申します。貴重なお時間をいただきまして…………」   
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