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タイミング、一呼吸置く、途中の表情変化、声のトーンの変化。見ている新人たちはすっかり夢中になっていた。
(すげぇ……)
翔は、ただでさえ目を奪われがちな花の容姿から発される力強い発表に瞬きすら忘れそうだ。
石尾はただ魅入られていた。
(こんな仕事をしたい! ここに配属されて良かった……)
七生はただうっとりと花を見つめている。
「以上です。ご質問ありましたらお願いいたします」
「19分か。後1分縮めようか。ジェイ、花が喋り終わった途端に画面を切り替えるな。2秒空けろ。花、会議室の予約が取れることは分かった。よくあることだが、直前になって会議を取り消すことについて一点。確かにスケジューラの予定を削除すれば取り消しが出来る。だがそれを周知できるのか? 予約が空いてもそれだけじゃ誰も会議室を使えない。そこを野瀬と詰めろ。30分後にもう一度プレゼンを聞く」
出て行った蓮の後ろ姿に、思わず翔が「鬼……」と呟いた。
「時間が無い。ジェイ、1つの説明に対して時間がどれだけ必要か計算し直してくれ。次のテーマに移る20秒前に俺に合図が欲しい」
「了解です」
「さっきのプレゼンで気になる部分があったらそれも頼む」
「はい。花さん、先に一つ。説明で一息つくときに下を見ています。多分原稿を見てるんでしょ? それを止めましょう。印象が変わります」
「分かった、ありがとう。みんなも何かあったら言ってくれ。俺はこれから野瀬さんと話してくる。15分後に打ち合わせ。その後、再度課長に見てもらう」
花は野瀬と話すために出て行った。
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