8.思い合う心

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  「な、鬼課長もだけど、チーフの補佐も鬼だと思わないか? 先輩って柔らかいのにズバッとチーフに言うんだな」 「……自分の仕事をちゃんと把握してるってことだろ」 「あれ? 石尾、先輩を認めたの?」 「そうじゃなくって! やっぱり仕事への姿勢って大事だろうってこと」 「なるほどねぇ」  翔には分かった。石尾がジェロームのことをもう悪くは言わないだろうということが。花が自分にはジェロームが必要なんだと言ったわけが今日はっきりと理解できたから。  「悪いな、上がるよ。池沢、後を頼む。何かあれば連絡くれ」 「それじゃ意味が無いでしょう。もう仕事のことは忘れてください、俺が後は引き受けます」 「……分かった。よろしく!」  ソファのジェイに声をかける。 「起きろ、帰るぞ」 「んん……はい」  今日のジェイは落ち着いていた。みんなもちょっと安心している。このまま安定してくれればいいと。 「食事は……」 「帰ろうよ、俺作るから。材料もあるし」 「すっかり奥さんだな」 「蓮!」 「悪い、奥さまだ」 睨みつけられ、「降参だ、もう言わない」と両手を上げた。 「具合、どう?」 「ちょっと疲れた。でもみんなが気を遣ってくれたからあまり動き回らずに済んだ」 「みんな心配してるんだよ。だから無理はしないでね」 「分かったよ。今日部長に呼び出されて説教された」 「有難いって思わなくっちゃ」 「……そうだな」   
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