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「な、鬼課長もだけど、チーフの補佐も鬼だと思わないか? 先輩って柔らかいのにズバッとチーフに言うんだな」
「……自分の仕事をちゃんと把握してるってことだろ」
「あれ? 石尾、先輩を認めたの?」
「そうじゃなくって! やっぱり仕事への姿勢って大事だろうってこと」
「なるほどねぇ」
翔には分かった。石尾がジェロームのことをもう悪くは言わないだろうということが。花が自分にはジェロームが必要なんだと言ったわけが今日はっきりと理解できたから。
「悪いな、上がるよ。池沢、後を頼む。何かあれば連絡くれ」
「それじゃ意味が無いでしょう。もう仕事のことは忘れてください、俺が後は引き受けます」
「……分かった。よろしく!」
ソファのジェイに声をかける。
「起きろ、帰るぞ」
「んん……はい」
今日のジェイは落ち着いていた。みんなもちょっと安心している。このまま安定してくれればいいと。
「食事は……」
「帰ろうよ、俺作るから。材料もあるし」
「すっかり奥さんだな」
「蓮!」
「悪い、奥さまだ」
睨みつけられ、「降参だ、もう言わない」と両手を上げた。
「具合、どう?」
「ちょっと疲れた。でもみんなが気を遣ってくれたからあまり動き回らずに済んだ」
「みんな心配してるんだよ。だから無理はしないでね」
「分かったよ。今日部長に呼び出されて説教された」
「有難いって思わなくっちゃ」
「……そうだな」
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