9.迫りくる真実

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  「ごめん、俺、何か言った?」 「そうじゃないですけど、元気無いなと思って」 「ちょっと考え事しちゃって……えと、なんだっけ?」  石尾が答える。 「この前言われた資料のまとめ、出来たんですけど」 「早いね! 石尾くん、そういうの得意そうだよね」 「先輩、私も頑張りました!」 「ありがとう、七生ちゃん。目を通したいけど今日の夕方になりそうなんだ。返事、明日になるかもしれない」 「分かりました」  石尾もだいぶ柔らかくなり始めている。チームが一枚岩になるにはもっと時間がかかるだろうが。  『午後』と聞いたから気になって仕方ないのに、メールを開けるのに躊躇いが出ている。けれどそのせいで仕事に集中できないのも確かだ。とうとうメールを開けた。 ―――――――――――――― ジェローム・シェパード様 河野蓮司さま 宗田 花様 本日14時半より西崎弁護士との面談を予定しておりますので、307応接室においでください。 ――――――――――――――  驚くほどあっさりした内容に拍子抜けした。 (なんだ、早く見れば良かった)  けれど行って何を話されるのか、あるいは聞かれるのか分からない。 (あ、蓮にメールしとこう!)  これが良かった。蓮の折り返しは早かった。 『急いで行く。気になることはなんでもメールしろ』 (良かった! ありがとう、蓮) その文面を読んだだけでホッとした。   
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