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「ごめん、俺、何か言った?」
「そうじゃないですけど、元気無いなと思って」
「ちょっと考え事しちゃって……えと、なんだっけ?」
石尾が答える。
「この前言われた資料のまとめ、出来たんですけど」
「早いね! 石尾くん、そういうの得意そうだよね」
「先輩、私も頑張りました!」
「ありがとう、七生ちゃん。目を通したいけど今日の夕方になりそうなんだ。返事、明日になるかもしれない」
「分かりました」
石尾もだいぶ柔らかくなり始めている。チームが一枚岩になるにはもっと時間がかかるだろうが。
『午後』と聞いたから気になって仕方ないのに、メールを開けるのに躊躇いが出ている。けれどそのせいで仕事に集中できないのも確かだ。とうとうメールを開けた。
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ジェローム・シェパード様
河野蓮司さま
宗田 花様
本日14時半より西崎弁護士との面談を予定しておりますので、307応接室においでください。
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驚くほどあっさりした内容に拍子抜けした。
(なんだ、早く見れば良かった)
けれど行って何を話されるのか、あるいは聞かれるのか分からない。
(あ、蓮にメールしとこう!)
これが良かった。蓮の折り返しは早かった。
『急いで行く。気になることはなんでもメールしろ』
(良かった! ありがとう、蓮)
その文面を読んだだけでホッとした。
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