511人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
ノックの音に西崎の声が「どうぞ」と応えた。中には西崎の他に男性が二人。立ち上がってそれぞれ名刺交換となった。
「西崎と共に今回の事件で弁護を務めさせていただく遠藤と申します」
「同じく保坂です」
2人とも40前後の中堅どころといった感じだ。
遠藤義男。少し痩せ気味で時折鋭い目を向ける時がある。保坂明。笑顔を浮かべて一見愛想が良さそうには見えるが、どことなく捉えどころが無い。
促され、蓮と花に挟まれてジェイは座った。
「ジェローム、久しぶりね。今回はこの二人の紹介と、加害者の公判についてお話をするためにお呼びしました。遠藤は傷害罪、暴行罪に明るく、保坂は性犯罪を専門にしています。一緒にこの事件を無事に終わらせるよう尽力しますのでよろしくお願いします」
早速ですが、と本題に進んだ。
「まず4月15日の、加害者相田圭祐の初公判についてご報告します。ジェローム、大丈夫ですか?」
西崎はジェイの様子を気にしてくれた。ジェイは蓮と花の顔を見る。蓮が先に口を開いた。
「彼は今日初めてお話を聞きます。前回同様、まだ本人の記憶が不安定です。その点をどうぞご理解ください」
「分かりました。ジェローム、分からない部分もあるかもしれないけれど聞いててね」
西崎はテーブルにファイルを広げて話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!