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「今回の事件にはいくつかの罪状が含まれています。傷害罪の執行猶予中の再犯であること。『略取(りゃくしゅ)・誘拐罪』略取というのは暴行を伴って誘拐することです。監禁罪。強制性交等未遂、これはレイプ未遂のこと」
そこで言葉を切って、ちょっとジェイの様子を見た。理解しようとはしているようだが不安そうに蓮を見ている。ただ、以前より落ち着いて見えるからそのまま続けた。
「たくさんの物的証拠があり、監禁罪、強制性交等未遂以外は加害者は事実を認めています。ただし今の2点についてはシェパードさんの合意の上だったと加害者は主張しました。その上で虚偽告訴罪として告発されています」
「冗談でしょう!? なんでこっちが告発されるんですか!」
花が思わず口を開いた。
「宗田さん、でしたね」
保坂が話し始めた。
「性犯罪ではよく起こることです。合意の上だったのに訴えられたが、それは被害者とされる側の嘘であったという。一番デリケートな部分で証明がしにくい。被害者がきちんと状況を説明の上、合意で無かったと主張しなければ引っ繰り返されやすいんですよ」
花は怒りで震えている。
「今回の場合加害者の主張は、1.シェパードさんの性的嗜好が被虐を求めるものであった。2.アルコールを自分から摂取した。3.拒否の姿勢を取らなかった。この3点です。これについては断固としたこちらの主張が無ければ向こうの思うツボとなります。だからご本人に頑張ってもらわなければなりません」
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