9.迫りくる真実

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  「はい。『一事不再理』の原則がありますので、確定された罪について再度内容を取り上げることは出来ません。でも何らかの関連付けからうまく引用することが出来るかもしれないんです。ただ、それがこの事件を有利に導くかどうかの判断が出来かねているので、いろいろお話を伺いたいと思っています」  話はジェイを置いてけぼりにして進んでいく。 「西崎さん、良く分かりました。私は同席することに何の問題もありません。今日はこれから内容についてお話しするんでしょうか? ジェロームには今のお話を理解しようと精いっぱいで疲れが見えるんですが」  今この話を進めるのは無理だ。ジェイ自身が中身をほとんど把握していないのだから。ジェイには準備が整っていない。 「今日は現状の説明と今後の見通しについてのお話だけです。具体的なことはまた日を改めましょう。私としては、次の公判に今のジェロームを出廷させるのは不利になると思っています。今回は時間稼ぎをしておきます。再度ご連絡しますので、それでいいでしょうか?」 「分かりました。ではご連絡をお待ちしています」 「今後の発展によっては、職場の方々にもご協力いただくことが出るかもしれません。事件当時、ジェロームの救出のために直接関わっている方が多いので」 「それもご連絡いただいてからということですね?」 「はい。今の段階では不確定です」   
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