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話が終わり、ジェイを促して立った。西崎がジェイの手を両手で握った。
「ジェローム。これからが大変だと思います。あなたへの負担が少しでも軽くなるように私たちがお手伝いしますからね。一緒に頑張りましょうね」
「……はい」
どう返事していいか分からないままジェイはそう答えた。
部屋を出て歩き始め、途中でジェイの足が止まった。
「あの……今の、俺の話……だよね?」
蓮は花と顔を見合わせた。今日全部を分からせるなんて出来るわけがない。
「そうだよ。けど今日は考えるのをやめよう。この前からやっているようにまず忘れていることを整理していこう。今日、友中先生のところに一緒に行く。先生からもアドバイスをもらおう」
さっき西崎から写真を受け取った。手元にある転入時の相田の写真と一緒に持っていくつもりだ。
「ジェイ、俺も一緒に考えるから。分かんないことや辛いことなんかは何でも言ってくれよ。バックアップ、する」
花の言葉に頷きはしたが、ただそれだけだ。西崎の説明を反芻しようとしても、ただ言葉だけが反響して意味が伝わってこない。
「疲れただろう。4階で休憩してから戻ろう」
階段に向かう途中、ジェイは蓮を見上げた。蓮は不安に揺れるジェイの目を見つめた。抱きしめて、大丈夫だと何度でも伝えたかった。
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