9.迫りくる真実

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  (帰りは俺が運転することになるかもしれない)  車の中でそう思った。チラッと隣を見ると、運転はちゃんとしているがどう見てもジェイは何か考え込んでる風だ。 「今日は美味いもの食って帰りたいな」 「……え? なに?」 「大丈夫か? 緊張してるのか?」 「そんなことないよ……大丈夫、さっき何言ったの?」 「帰りに焼肉でも食って帰ろうかって」 「焼肉!? だめだよ、そんなの!」 「お前、さっき『うん、そうだね』って答えたぞ」 「嘘だ、そんなこと言わない」 「いや、言った」 「言わないって! ……言った? ごめん……」 「言ってないよ、お前は。いつだって俺のこと考えてくれてるからな」 「……嘘つき……」  その肩をぽんぽんと叩いた。 「ジェイ。一人で考えるな。いつでも俺を巻き込め。ストレスかけたくないとかそんなくだらないこと考えるなよ。俺をお前の中から締め出すな」 「……ありがとう。思い出すのって、『これ』って言えるものばかりじゃないだろうなって考えてたんだ」 「どういうことだ?」 「いつの間にか思い出してて、でも前から覚えてることみたいになってるのもあるかもしれないって」 「覚えてたものと思い出したものが混じってるってことか?」 「うん……何を思い出したのかって全部書き出せるかどうか……」  そんなことにまで不安を感じているのかと思う。   
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