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「ジェイ、あんみつ食いたくないか? あそこなら俺にも食えるものがあると思う」
一瞬間が空いてジェイの返事が来た。
「そうだね……和食屋さんだから。……俺、あんみつ食べる!」
「そうか。肉にしたいけどなぁ、魚で我慢するよ」
ジェイの手が膝に載った。
「そうして。蓮はもう体を壊さないで。大事にして」
その手に左手を載せる。
「体に気をつける。無理はもうしない。魚を肉だと思うことにするよ」
ジェイに笑顔が浮かんだ。わずかだけれど。
「蓮、あの写真持ってるよね?」
躊躇わずにすぐに返事を返す。
「持ってるよ。俺が預かっておく」
「うん。落ち着いたらまた見せて。今日は……もういい」
「分かった。お前にそれは任せる。必要なことはなんでも言ってくれ」
「うん」
発作もおこしていない。声も出ている。会話が成り立っている。
(本当にお前はよく頑張っているよ)
夢は……きっとうなされるだろう。そこまでは自分で防げるものじゃない。
(吐き出すものは全部受け止めよう)
それが今の自分にできることだ。
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