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思ったより自分も食べられたし、ジェイも食べてくれた。食べないかもしれない、そう思ったけれど残したのは少しだった。
あんみつはしっかり食べた。疲れは甘いものを求める。食べているジェイを見て、自分の顔に笑みが浮かぶのを感じた。
「なに? どこか何かついてる?」
顔を撫でるジェイにまた微笑む。
「そしたら俺が舐めて食べるよ」
想像したらしい、顔が真っ赤になっていく。
「ダメだからね! しばらくは無し。俺、そんな気分じゃないから。蓮、最近エッチだ」
吹き出した。
「エッチって……健全だってことだよ。その方がお前も嬉しいだろ?」
「嬉しいけど……でも、ダメだからね!」
「なぁ……さっきの言葉、もう一度言ってくれよ。あれ、卑猥でぞくっとする」
「さっきの言葉?」
「お前が俺をどう思ってるのか言ってくれた言葉」
すぐに思いついてこれ以上ないほど羞恥に包まれる。
「なんて言ったっけ……俺、忘れた」
顔が赤いから自覚はあるのだろう。『エッチ』だなんて自分に言うのはジェイくらいなもんだ。
蕩けそうにジェイから色香が漂ってくる。
(しばらくはジェイの気持ちが優先だ……)
自分が感情に流されないように。戒めるようにそう思った。
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