9.迫りくる真実

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   繰り返していくうちにしっかりと声が聞こえた。 「ジェイ、水、欲しいか?」  頷いた……ような気がする。また口に冷たいものが当てられた。 ――コクン  はぁっ  体がそっと下ろされた。冷たいものが顔を、首を拭いていく。目を開いた。今度は光が見える、その下で動く人、逆光で良く分からない。 「こわいひと? こわくないひと?」  出たのは自分の声なのか。 「こわくないひとだよ、ジェイ」 「かお、みたい」 「みえないか?」 「まぶしい」  起こされた。背中に柔らかいものが積まれ寄りかかることが出来た。 「ほら、らくになったか? おれがみえるか?」  見えてくる……そっとその頬を触った。両手を伸ばしてその顔を触った。温かい。自分の頬にも手が触れてきた。さっきの手と違う、溺れる中で触ってきた手と。  焦点が合ってきて顔が分かった。 「れん」 「そうだよ。やっと分かったか?」 「れん」 「ああ、蓮だ。帰って来たか?」 「おれ、どこかにいってた?」 「迷子になってたんだ。でもちゃんと見つけた」  笑顔が浮かぶ。嬉しい声だ。嬉しい顔で、嬉しい言葉だ。 「だきしめて」 「いいよ。ほら」  しっかりと抱きしめられる。背中に手を回してガッチリした体に掴まった。 「かえってきた」 「帰ってこれたな」 「うん、かえれた」 「お帰り」   
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