9.迫りくる真実

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   こんな話をしていると本当に現実に戻ってきたのだと実感する。もしかしたら蓮はそれを見越しているのかもしれない。 「さ、朝飯の用意でもするか」 「蓮はゆっくりしてて。俺が作ってくるから」 「お前こそゆっくりしてろ。きっとまだくらくらしているはずだ」  その通りだ、頭が痛い気がする。夢の中で翻弄され過ぎた。やっと落ち着いてきたけれどさっきまで息切れもしていた。  蓮の真面目な声が聞こえた。 「お前が……戻ってこれないんじゃないかって心配したんだ。だからじっとしてろ。たいしたもんは作らないから」  あまりに心配そうな声だからそのまま頷いた。  夢は恐ろしかった。あの息の出来ない、肺まで水でいっぱいになったような……苦しくて。 (苦しくて? くるしい くるしい……) 何かを思い出しそうで。何かが心に引っかかる。けれど思い出したくない…… (くるしい くるしい……うぃすきい くるしかった)  ぞっとした、冷や汗が吹き出す。すぐそこに蓮がいる。なのに周りにウィスキーの匂いが立ち昇る。ウィスキーが入ってくる…… (のんだ? ウィスキー、じぶんから……のんだ?)  何回も聞かれた言葉。   
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