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『どうやって飲んだんだ。なぜ飲んだんだ』
(ちがう、うぃすきーがくちにあふれたんだ……あのなかで……おぼれかけたんだ……)
飲み込まなければ死んでいた。飲むしかなかった。次々と口に含まされて、飲んでも飲んでも飲んでも口の中にウィスキーが溢れていた。
「……れ……」
それだけで蓮が振り返った。
「ジェイ!」
「手を……」
「ああ、握ってる、握ってるぞ!」
(こうやって苦しみ続けるんだろうか……これじゃジェイがもたない)
抱き締めて力の抜けたジェイを抱え上げる。まるで自分が自分じゃないような気がした。しっかりとジェイを両手に抱えてソファに連れて行った。
もう寝室には置いておけない……ドアを開けていれば安心出来るレベルじゃなかった。
「……い、き……」
思い切り肺を膨らませて酸素をジェイの口から送り込む。何度も送り込んだ。青い顔に赤みが刺す。
(救急車……)
そんなことが頭に過ぎったけれど手を離すことが出来ない。
「ジェイ、俺が掴んでるから。だから息をしてくれ、頼む、息を」
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