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大きく啜り上げるようにジェイが息を吸った。力ない手が上がってきて蓮の肩に載った。
なるべく落ち着いた声で聞く。
「大丈夫か? 落ち着いたか?」
震えている体を、震える自分が抱いている。声は聞こえないけれど微かに頷くからほっとする。
「どうした、また夢を見たか?」
首が横に揺れたからどきりとする。
(目が覚めていても……?)
もう目は離せない。それほど昨日の衝撃は強かったのだ。何度もジェイは叩きのめされている、蘇る記憶に。
「無理して喋らなくていい。落ち着いたらお茶漬けでも食べるか」
今度は縦に揺れた。頭を撫でる。ジェイの息が落ち着いてきた。
「さっき……」
声が掠れている。
「無理するな、後で聞いてやる」
「うぃすきーのにおいが」
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