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分かった。病院で聞いたアルコールの血中濃度の異常な高さ。裁判で問題とされるだろうウィスキーの話。
(そんなことまで思い出しているのか?)
息が出来なくなるほど。ここには無い匂いで包まれるほど。
薬を飲ませようか迷う。もしその眠りの中でそんな夢に襲われたら戻ってこないかもしれない。
「れん おれ、ねたくない」
疲れた顔で呟くように言うジェイが悲しくて。
「たくさん寝たよな。起きていられるならその方がいい。食べたくなったら言うんだぞ」
「うん……ごめんね、しんぱいかけて」
「ばか。俺はお前のためにいるんだ。今、お前と一緒に戦ってるんだぞ」
笑顔が浮かんだ。
「れんと、いっしょ」
「ああ、俺と一緒だ。ずっと俺と一緒に戦っていくんだ」
「……まけたくない」
頬に口づけた。
「負けないさ、もう負けない。お前は記憶を持ったまま帰ってきてるじゃないか」
また笑顔が浮かぶ。
「かえるばしょが、あるから。れんがまってるから」
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