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「ご馳走さま。蓮、俺もう大丈夫だよ。そんなに心配そうな顔しないで」
「心配……させろよ。今日はゆっくり過ごそう。皿にカリントウもポテトチップも山盛りに持ってきてやる。今日はテレビの日だ」
薄氷の上を歩いている。そんな気がする。もしジェイが溺れたままなら……戻ってこなかったら。
(俺も行くよ、お前のところへ)
だからこそ戦わなくては。共に溺れるのではなく、共にここに在るために。
その夜はテレビの前で過ごした。悪い夢に引きずられないように。
「見ててやるから眠れたら眠れ。何かあれば起こしてやる」
ジェイの目に優しく笑いかけた。瞼にキスを落とす。
(どこにも行かせない。ジェイは俺のものだ。夢なんかに、あいつなんかにジェイを好きなようにさせて堪るか!)
檻の中にいてもジェイを縛りつける相田が憎い。幻になってもジェイに取り憑く。
ジェイの夢に入りたい……そこで守ってやりたい、悪いものを遠ざけたい。いつの間にか、ジェイの寝息が蓮の子守歌になっていた。
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