10.憎んでいい?

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   話が終わって静かな時間が過ぎていった。  立ち上がった蓮は二人分の水を持ってきた。ジェイの前にコップを置いて、自分は飲み干した。  ジェイの手が上がって、コップを掴んだ。けれどその手は持ち上がらない。 「ジェイ? 大丈夫か?」 「……蓮、ソファに座りたい……蓮の隣に」  抱えてやらないと立てなかった。震えている、蓮の手に縋って歩く。ソファに座らせてその隣で頭を引き寄せた。 「それ……俺に起きたことなんだね、全部」 「そうだ。知らなかったこと、たくさんあったか?」 「……たくさん……あった……」 「聞いてよかったのか?」  間が空く。 「知らなきゃいけなかったと……そう思ってる、今は。ごめんね、明日のこと、分からない。でも、今はそう思うんだ」 「そうか」 「お願い。もう一度写真、見たい」  蓮はテーブルから写真を取ってジェイに渡した。顔は穏やかなのに、写真が歪むほどの力で掴んでいた。   
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